読書
J・M・クッツェー『遅い男』読んだ。自転車事故で脚を一本失った老人の話だが、全体的におもしろい。中盤以降、作者みたいな人物がいきなりログインしてきて、そこから自由意志vs神みたいなかんじの話になだれこんでいくところが超良い。素晴らしい。 遅い男…
牧野修『月世界小説』読んだ。牧野修といえばキチガイじみた文章をこれでもかと叩きつけてくる芸風で有名だけれど、この『月世界小説』もその芸風の最先端というかんじがする。 囁くような少女たちの忍び笑いが終始聞こえている。肘で脇腹をつつき合う姿が目…
小山田浩子『工場』読んだ。三島由紀夫賞の候補だけあってそれなりにとがっている。作者が動物好きのようで、収録されている三編とも動物が登場し、全てオチに使っている。だけど、吉村萬一『ハリガネムシ』のハリガネムシオチとかと比べるとあまりピンとこ…
ミシェル・ウェルベック『地図と領土』読んだ。最近読んだ『プラットフォーム』と比べると、かなり筆を律していて、逆に狂気を感じる。主人公は芸術家で、家に引きこもってフランスの国土地図の写真を延々と撮り続けて作品にしちゃうような人で、その描写を…
37シグナルズの人が書いている『小さなチーム、大きな仕事』読んだ。 「競合にはけんかを売れ」とか「五時には帰れ」とか書いてある系の本。 経営者向けっぽいのでもし経営者になるときには再読したい。 小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成…
ドン・ウィンズロウ「サトリ」読んだ。 文章中で視点がころころ変るのが少し気になるが、全体としては、物語のリーダビリティが高いのでぐいぐい読める。 第二次世界大戦後の東アジアが舞台。 日本人の男に育てられたロシア人が主人公で、素手で人を殺せてす…
一時間くらい外で時間を潰す必要があったので、コンビニの棚にまだ残っていた文藝春秋を買って、火花を読んだ。 なんというか、『創作を行う上での心構え』を、徹底的に『創作を行う上での心構え』に沿って記述している小説。 普通の創作論は、結局、おもし…
グレッグ・イーガンのゼンデギ読んだ。前半がイランの革命パート、後半が主人公の脳みそをゴリゴリ未来のソシャゲ『ゼンデギ』にコピーしていくパート、という構成。短篇集の「祈りの海」の『キューティ』の中で、擬似赤ちゃんを育てる男の話が出てくるけど…
この本にもっとあったほうが良いと思うものを列挙します。 セックス 暴力 狂気 ギャグ 人生 運命 愛 意見 緊迫感 臨場感 センスオブワンダー 舞台が火星である理由 たぶんいろんなところに気を配りすぎて、筆が丸くなっている気がする。馬は良かったので、次…