ミシェル・ウェルベック『地図と領土』読んだ
ミシェル・ウェルベック『地図と領土』読んだ。最近読んだ『プラットフォーム』と比べると、かなり筆を律していて、逆に狂気を感じる。主人公は芸術家で、家に引きこもってフランスの国土地図の写真を延々と撮り続けて作品にしちゃうような人で、その描写を読んでいるだけで面白い。作品全体に通底する、『鉄塔 武蔵野線』とか穂田川洋山の作品なんかにある執拗な物へのこだわりがとても良い。
前半、主人公がダミアン・ハーストという作家の絵を書いたり自分でぶっ壊したりする描写があるのだけれど、最終的に作品内でハエの視点を導入して、「肉が放置されていると自分たちはこんなかんじで繁殖するんだよ」ということをwikipediaゆずりの文章で書き上げていて良い(ダミアン・ハーストは実際にいる現代アーティストで、ハエを繁殖させるでかい箱やハエの死骸で作った球体などの作品がある)。地図とか領土とかに対する執拗な感情をお持ちの方におすすめの作品です。
- 作者: ミシェルウエルベック,Michel Houellebecq,野崎歓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/10/07
- メディア: 文庫
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